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  TU Delft(デルフト工科大学)
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[TU Delft]
エンジニアのジレンマ
分野:IT、倫理
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エンジニアの倫理的判断力 ― 正しさに迷う現場で、技術と社会のはざまに向き合う

このコースはデルフト工科大学の「 Ethical Dilemmas in Professional Engineering (倫理的ジレンマへの対応)」を翻訳し、日本語字幕をつけたものです。

エンジニアリングは、社会や人々の安全、環境、そして私たちの生活の質に直接的かつ大きな影響を与える専門職です。設計や実装、運用の一つひとつの判断が、利用者の安全性や信頼、さらには社会全体の持続可能性にまで関わることもあります。そのため、エンジニアには高度な技術力だけでなく、その判断の根拠となる倫理観や責任意識が強く求められています。

しかし現実の現場では、法令や社内規則を守っていれば、すべての判断に明確な答えが用意されているわけではありません。ある行動が法的には問題なくても、それが社会的に正しいと言えるのか、利用者や周囲の人々、環境といったステークホルダーの期待や価値観に沿ったものなのかという点で、判断に迷う場面は少なくありません。納期やコスト、組織内での立場といった現実的な制約が関わることもありますが、それ以上に、「エンジニアとして何を優先すべきなのか」「誰に対して責任を負っているのか」といった倫理的な問いが、判断を難しくします。こうした状況で直面するのが、単純な正解のない倫理的ジレンマです。

本コースでは、専門職エンジニアとして求められる職業倫理の基本的な考え方を学びながら、こうした倫理的ジレンマに向き合うための視点と枠組みを身につけていきます。具体的には、
  • 行動規範(Codes of conduct)をどのように読み解き、実務の判断に結びつけるのか
  • 内部告発は、どのような条件のもとで倫理的に正当化されるのか
  • 利害の衝突、利益相反をどのように認識し、適切に対処すべきか
  • 社会や多様なステークホルダーと、どのような姿勢でコミュニケーションを取ることが求められるのか
といったテーマを、具体的なケーススタディや企業関係者へのインタビュー、実践的な課題演習を通じて学びます。

本コースの大きな特徴は、抽象的な倫理論にとどまらず、自身の業務や所属する組織の状況に引き寄せて考える実践的なアプローチを重視している点にあります。受講を通じて、「もし自分がこの立場にいたらどう判断するか」を自ら考え、説明し、行動につなげる力を養います。技術と社会の関係に関心を持つ初学者にとっても無理なく理解でき、将来の実務やキャリアに活かしやすい内容となっています。

受講対象者
本コースは、以下のような方におすすめです。
  • エンジニアとしての職業倫理を体系的に学びたい方
  • 技術判断と社会的責任の関係に関心のあるIT・エンジニアリング分野の初学者
  • 現場での判断に迷いを感じた経験がある若手〜中堅エンジニア
  • 組織内のルールやコンプライアンス、ガバナンスに関わる方
  • 技術と社会の関係を俯瞰的に理解したい学生・社会人
前提知識
特別な専門知識や倫理学の事前学習は必要ありません。
一般的なエンジニアリングやIT分野の業務経験、または基礎的な理解があれば、無理なく受講できます。初学者にも配慮した構成となっています。

学習目標
本コースを通じて、以下の力を身につけることを目指します。
  • エンジニアに求められる職業倫理と行動規範を理解し、実務に適用できるようになる
  • 行動規範(Codes of conduct)の意義と実務における判断方法を理解する
  • 内部告発が正当化される条件を判断できるようになる
  • 利益相反を認識し、適切に対処するための考え方を身につける
  • 社会的ステークホルダーとのコミュニケーションの重要性を理解する
  • 倫理的ジレンマに直面した際に、実践的に考え行動するための視点を養う
エンジニアとして「正しく考え、説明し、行動する」ための基礎力を身につけることが、このコースの到達点です。

学習内容

モジュール0. 専門職エンジニアリングにおける倫理的ジレンマ入門
01) 0.1.1 エンジニアの倫理的ジレンマへの対応:序論
02) 0.1.2 倫理的ジレンマへの対応:シラバス(講義概要)
モジュール1. エンジニアの職業的責任
03) 1.1.1 職業的義務とは?
04) 1.2.1 行動規範入門
05) 1.2.2 クイズ:従うべき行動規範は?
06) 1.3.1 動画:制約と課題
07) 1.4.1 KIVI理事によるKIVI行動規範の紹介
08) 1.4.2 KIVI行動規範とはどのような規範か?
09) 1.4.3 行動規範の例
10) 1.5.1 価値観:サリム・ハドリ氏インタビュー
11) 1.6.1 クロージング:KIVI行動規範の実践的な応用
モジュール2. 内部告発
12) 2.1.1 内部告発:序論
13) 2.2.1 ブルネル社CEOへのインタビュー
14) 2.3.1 課題導入:内部告発のケーススタディ
15) 2.3.2 ケースの事実
16) 2.3.3 課題・パート1
17) 2.3.4 NSPE判決(リーディング)
18) 2.3.4 NSPE判決(講義)
19) 2.3.5 課題・パート2
20) 2.4.1 内部告発が倫理的に求められる時期?
21) 2.5.1 企業事例
モジュール3. 利益相反
22) 3.1.1 利益相反:序論
23) 3.2.1 利益相反に対処する戦略
モジュール4. コミュニケーション
24) 4.1.1 コミュニケーションの種類:序論
25) 4.1.2 動画:コミュニケーションの種類
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分野 IT、倫理
前提となる知識 とくになし
想定学習時間 2時間
修了認定テスト
修了証書発行
なし
オープンバッジ
発行
なし
受講期間 期限なし
講座サンプル
講師
  • Dr. P.E. Vermaas
    ( info
  • Prof.dr.ir. I.R. van de Poel
    ( info
翻訳ボランティア
謝辞

本コースの日本語翻訳は、下記のボランティアの方々の全面的なご協力によるものです。ここに厚く感謝申し上げます。

(50音順)
大山広美様、加藤さやか様
五島寛子様、髙田真弥様
橘幹夫様、長澤菜月様
中瀬智美様、西川瞳様
馬場 玲子様、林加奈絵様
藤田麻衣子様、前田政夫様
松村泰起様、三田仁様
山下由美子様
権利関係
この講座はクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの下で提供されています。
Creative Commons logo with terms BY-NC-SA.
エンジニアのジレンマ
Tu Delft(デルフト工科大学)
オランダ最古の工科大学で、ヨーロッパでも非常に高い評価を受けている名門校。土木工学、建築、航空宇宙学などがとくに有名。大学のロゴはギリシャ神話にある「プロメテウスの炎」を表しています。
https://www.tudelft.nl/


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